2020年8月18日
日本メドトロニック株式会社

日本メドトロニック
冷凍アブレーションカテーテル製品が
持続性心房細動治療に対する治療用カテーテルとして
適応拡大の薬事承認を取得

―より多くの患者さんに心房細動の根治を目指した治療を提供可能に―

 

日本メドトロニック株式会社(本社:東京都港区)は、「Arctic Front Advance™(アークティック フロント アドバンス)」「Arctic Front Advance™ Pro(アークティック フロント アドバンス プロ)」「Freezor™ MAX (フリーザー マックス)冷凍アブレーションカテーテル」(以下総称して、冷凍アブレーションカテーテル)の適応に、薬剤抵抗性を有する再発性症候性の持続性心房細動を追加することが薬事承認されたことをお知らせします。今後、保険診療下で治療を提供できるよう保険適用に向けた手続きを行います。

この度、日本、米国、カナダの合計25施設が参加した国際共同治験1において、持続性心房細動の患者さんに対する治療の有効性・安全性について評価され、その結果に基づき適応拡大が認められました。日本国内においては、2014年に薬剤抵抗性を有する再発性症候性発作性心房細動への適応を認められ、現在までに約300施設で使用されています。今回の持続性心房細動への適応拡大を通じて、冷凍アブレーション治療をより多くの患者さんに届けることを目指しています。

心房細動は、心臓の4つに分かれた部屋のうち「心房」と呼ばれる上の2つの部屋で生じた異常な電気的興奮により起こる不整脈です。心房が痙攣したように不規則に震え、拍動数が速くなることで血液を送り出せなくなり、心房内に血栓ができやすくなります。形成された血栓により、脳梗塞や心不全、認知症などの発症リスクが高まることが知られています2-6。心房細動の持続する期間により、発作性心房細動(発症後7日以内に消失)、持続性心房細動(発症後7日を超えて持続するもの)および長期持続性心房細動(発症後1年を超えて持続するもの)の3つのステージに分かれています。

冷凍アブレーションカテーテルは、心房細動の原因である不規則な電気信号の主要発生部位と考えられる肺静脈を、冷却剤を用いて冷凍焼灼(しょうしゃく)することにより、異常な電気伝導の回路を遮断する治療法です。世界で80万人以上の患者さんに使用され、これまでに大規模臨床試験7やレジストリー8等多くの臨床実績により、少なくとも一種類の抗不整脈薬が無効になった患者さんに対する有用性が示されてきました。

日本不整脈心電学会カテーテルアブレーション委員会委員長 山根 禎一 先生は、次のように述べています。「心房細動を根治させて脳梗塞や心不全のリスクから脱却することは長く国民の健康管理上の重要課題でした。2000年から開始された心房細動カテーテルアブレーションは、そのニーズの高さを反映するように飛躍的に普及し、現在国内で年間約7万件にのぼる手術が行われています。その中でも冷凍アブレーションはカテーテルアブレーションの普及および成績の向上に寄与してきました。心房細動は発作性から持続性、さらに慢性(長期持続性)へと進んでいく進行性疾患ですが、冷凍アブレーションカテーテルによる肺静脈隔離術の従来の適応は発作性心房細動に限られていました。しかし今回、持続性心房細動においてもクライオバルーンの有効性・安全性が示され、その適応が拡大されました。クライオバルーンのメリットは、施設間・術者間格差の低減や術時間の短縮に寄与すると考えられます。今回の適応拡大に伴って、より多くの心房細動患者さんが適切な治療を受けられることを期待しています。」

超高齢社会を迎え今後もその患者数が増加すると言われている心房細動に対し、メドトロニックは、診断から治療まで包括的なソリューションの提供を通して、健康に暮らせる社会の実現に向けて貢献してまいります。

販売名:Arctic Front Advance冷凍アブレーションカテーテル 医療機器承認番号:22600BZX00062000
販売名:Freezor MAX冷凍アブレーションカテーテル 医療機器承認番号:22600BZX00060000

【心房細動(Atrial Fibrillation:AF)とは】

心房細動は最も発症率の高い不整脈のひとつで、日本では現在100万人を超える患者さんがいる と言われており9、心房細動の有病率は加齢とともに増加します10。また、心房細動の患者さんでは、脳梗塞や心不全、認知症の発症リスクが高まることも報告されています2-6,11,12。心房細動の症状には、脈の乱れ、胸部の不快感、胸の痛み、動悸、息苦しさ、運動時の疲労感、めまいなどがあげられますが、半数程度の患者さんは自覚症状がないとも言われています13

【カテーテルアブレーション治療とは】

カテーテルアブレーション治療は、カテーテルと呼ばれる細い管を脚の付け根から血管(静脈)を通じて心臓に入れ、心房細動の原因となる不規則な電気信号の発生部位を焼灼(アブレーション)することで、異常な電気信号の流れを遮断する治療法です。外科的な手術と比べて、治療に要する時間が短く、身体への負担が少ないことが特徴です。心房細動の根治を目指す治療法として、薬物治療の効果が十分に発揮されない患者さんや、患者さんの症状に応じて検討されます。
カテーテルアブレーションは、使用するエネルギー源によって、高周波電流などを用いて加熱焼灼する方法と冷却剤を用いて冷凍焼灼する方法などに分けられます。また、カテーテルの形状も大きく2種類あり、先端に金属の電極がついた電極カテーテルと、先端に小さな風船が付いたバルーン型カテーテルがあります。
バルーン型の冷凍バルーンカテーテルでは、バルーン形状を活かして肺静脈入口部に接触面を当てることで、円周状に冷凍焼灼でき、手術時間の短縮が期待できます。また、冷却により肺静脈周囲の心筋組織とバルーンが固着するためカテーテルを安定的に保持することができ、術者の負担軽減や、術者ごとの成績のばらつきを抑えることにもつながります。

1

Medtronic STOP Persistent AF Trial

2

2011 ACCF/AHA/HRS Guidelines for the Management of Patients With Atrial Fibrillation

3

脳卒中データバンク2009

4

Santhanakrishnan R, et al. Circulation. 2016;133:484-492

5

Bunch TJ, et al. J Cardiovasc Electrophysiol. 2011;22(8):839-845

6

Chen LY, et al. J Am Heart Assoc. 2018 Mar 7;7(6):e007301

7

Packer DL, et al. J Am Coll Cardiol. 2013;61(14): 1713-23

8

Mortsell D, et al. Europace. 2019 Apr 1;21(4):581-589.

9

Ohsawa M et al. J Epidemol. 2005; 15(5): 194-196.

10

Inoue H et al. Int J Cardiol. 2009; 137(2): 102-107.

11

Fuster V, et al. Journal of the American College of Cardiology. 2006; 48:854-906.

12

ACC/AHA/ESC Guidelines for the Management of Patients with Atrial Fibrillation

13

Inoue H et al. Int J Cardiol. 2009; 137(2): 102-107.

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