2020年9月1日
日本メドトロニック株式会社

日本メドトロニック
Reactive ATP™機能を持つ両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)が
チャレンジ申請において再評価

~心不全患者の心房細動の持続時間の延長を抑制~

 

日本メドトロニック株式会社(本社:東京都港区)は、心房細動の進行抑制を目的に開発されたReactive ATPTM(リアクティブ エーティーピー、以下 Reactive ATP)機能を搭載した両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(以下 CRT-D)について、2020年9月に補正加算を伴う機能区分の新設が認められたことをお知らせいたします。これは、既収載品の再評価制度「チャレンジ申請」により評価を受けた事例で、メドトロニックとしては2例目となります。

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メドトロニック社製 両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)

販売名:NIMシステム3.0 (医療機器認証番号:221ACBZX00103000)

CRT-Dは、心臓再同期療法(以下 CRT)と呼ばれる治療法に用いられる医療機器です。心臓のポンプ機能が低下した慢性心不全の患者さんに使用され、人工的に電気刺激を送出することで左右の心室収縮のズレを解消します。Reactive ATP機能は、心不全患者さんに併存する心房細動に対して、独自のアルゴリズムによりリズムおよび規則性の変化を自動的に検出し、それに合わせて繰り返し抗上室性頻拍ペーシング(Anti-Tachycardia Pacing)を送出することで心房細動が持続することを抑制します。

実臨床における8,032名の患者さんを対象とした大規模な観察研究において、Reactive ATP機能を使用した群では、未使用群と比較して、7日以上持続する心房細動のリスクを27%、30日以上持続する心房細動のリスクを32%、それぞれ有意に低減させることが示されました1。また、国立循環器病研究センター病院の示したデータでは、Reactive ATP機能を使用した群は、未使用群と比較して心不全のための入院のリスクが57%、心室性不整脈のリスクが55%、それぞれ有意に低減することも示されています2

心房細動は一般的に心原性脳梗塞の発症や心不全が増悪する要因であり、生命予後に影響を与えることが広く知られています。中症から重症の慢性心不全の患者さんがCRTの対象となりますが、それらの患者さんは一般的に心房細動の併発リスクが高く、実に約45%は植込み後の経過観察中に心房細動を併発すると言われています3。さらに、CRTデバイスの植込み患者さんに対する心房細動は、それ自体が心不全増悪のリスクとなるだけでなく、心房細動の持続化に伴い心臓のリズムが崩れることでCRTの治療ペーシングが阻害され、臨床転帰に悪影響を与えることが示されています4。よって、これまでもCRTデバイスの植込み患者さんに対する心房細動の管理は非常に重要であることが国内外の治療ガイドラインにも示されていました5,6

国立循環器病研究センター病院の不整脈科部長である草野研吾先生は、「心房細動は慢性心不全を呈するCRTの植込み患者さんにおける代表的な併存疾患であり、そのマネジメントは大変重要です。Reactive ATP機能は、追加の治療介入を行うことなく心房細動の持続化を抑制し、心不全での入院や致死性不整脈の発生リスクを抑制する効果が示唆されています。メドトロニック社製のCRT-Dに搭載されたReactive ATP機能によって、CRTデバイスの植込み患者さんが抱える心房細動管理という臨床的課題に対して、薬物治療およびカテーテルアブレーションに加え、患者さんにとってより負担の少なく効果的な第三の治療オプションを与えるものと期待しています。」と述べています。

日本メドトロニック株式会社CRHF事業部事業部長の伊藤良寛は、「CRTの植込み患者さんに対して治療結果を改善するエビデンスが認められたことを喜ばしく思います。今後も意義のあるイノベーションを促進し、製品を通じて患者さんに貢献していきたいと思います。」と述べています。

【心臓再同期療法について】

心臓再同期療法(Cardiac Resynchronization Therapy:CRT)は慢性心不全のなかでも心臓の電気信号の伝導異常により心室の収縮がうまくいかない心室同期障害に対する治療法です。ペースメーカから電気刺激を送り、左右の心室収縮のズレを補正することにより心臓ポンプ機能の回復を図ります。CRTデバイスには除細動機能なし両室ペースメーカ(CRT-P)と両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)の2種類があります。

【慢性心不全について】

心不全とは心臓がポンプとしての役割をはたせなくなった状態をいいます。高齢化や食生活の欧米化により患者数は増加しつづけており、国内での罹患者数は約120万人、2030年には130万人に達すると推計されています7。心不全は放置すれば生命の危険を伴いますが、最近では薬物治療に加え、心臓再同期療法(CRT)や人工呼吸器を使った治療法などが登場し、生命予後の改善(寿命を延ばす)と生活の質(クオリティ・オブ・ライフ:QOL)の向上が望めるようになってきています。

【心房細動について】

心房細動は最も発症率の高い不整脈の一つで、日本では現在100万人を超える患者さんがいると言われており8、心房細動の発症リスクは加齢とともに増加します9。心房細動が起こると、心房は血液を心室へ送り出す役割を果たせなくなります。短期間では強い症状が現れることは稀ですが、心房細動が長時間持続すると、心房の中で滞留した血液が凝固して血のかたまり(血栓)となり、それは多臓器の動脈を閉塞させるほか、脳梗塞などの血栓症を引き起こすことがあります。また、持続的に心臓に負担がかかることから、心不全の原因にもなります。

【チャレンジ申請について】

2018年4月より使用実績を踏まえた評価が必要な製品に対して新たにイノベーションを評価する制度としてチャレンジ申請制度が導入されました。保険医療材料には、長期に体内に埋植するものや、革新性の高い技術を伴うもの等があり、保険収載までの間に最終的な評価項目を検証することが困難な場合があることから、製品導入時には評価できなかった部分について、使用実績を踏まえて保険収載後に新規機能区分の該当性について再度評価を申請できるようになりました。

(参考:厚生労働省保険局医療課 「平成30年度 保険医療材料制度改革の概要」 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000197552.pdf )

【心臓再同期療法について】

心臓再同期療法(Cardiac Resynchronization TherapyCRT)は慢性心不全のなかでも心臓の電気信号の伝導異常により心室の収縮がうまくいかない心室同期障害に対する治療法です。ペースメーカから電気刺激を送り、左右の心室収縮のズレを補正することにより心臓ポンプ機能の回復を図ります。CRTデバイスには除細動機能なし両室ペースメーカ(CRT-P)と両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)の2種類があります。

 

【慢性心不全ついて】

心不全とは心臓がポンプとしての役割をはたせなくなった状態をいいます。高齢化や食生活の欧米化により患者数は増加しつづけており、国内での罹患患者数は約120万人、2030年には130万人に達すると推計されています7。心不全は放置すれば生命の危険を伴いますが、最近では薬物治療に加え、心臓再同期療法(CRT)や人工呼吸器を使った治療法などが登場し、生命予後の改善(寿命を延ばす)と生活の質(クオリティ・オブ・ライフ:QOL)の向上が望めるようになってきています。

 

【心房細動について】

心房細動は最も発症率の高い不整脈の一つで、日本では現在100万人を超える患者さんがいると言われており8、心房細動の発症リスクは加齢とともに増加します9。心房細動が起こると、心房は血液を心室へ送り出す役割を果たせなくなります。短期間では強い症状が現れることは稀ですが、心房細動が長時間持続すると、心房の中で滞留した血液が凝固して血のかたまり(血栓)となり、それは多臓器の動脈を閉塞させるほか、脳梗塞などの血栓症を引き起こすことがあります。また、持続的に心臓に負担がかかることから、心不全の原因にもなります。

1

George H. Crossley, et al.  Pacing Clin Electrophysiol 2019;42:970-979.

2

Nobuhiko Ueda, et al.  Journal of Cardiology 2019.

3

Giuseppe Boriani, et al. European Heart Journal 2011;13:868-876.

4

Kevin T. Ousdigian, et al. Circ Arrhythm Electrophysiol 2014;7:370-376.

5

Jean-Claude Daubert, et al. Heart Rhythm 2012;9:1524-1576.

6

不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)2019年3月29日発行.

7

公益財団法人 日本心臓財団ホームページ(https://www.jhf.or.jp/check/heart_failure/01/

8

Ohsawa M et al. Journal of Epidemiology. 2005; 15(5): 194-196.

9

Inoue H et al. Int Journal or Cardiology. 2009; 137(2): 102-107.

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