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こちらは、国内の医療従事者の方を対象に製品等の情報を提供することを目的としたサイトです。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんので、ご了承ください。
あなたは医療従事者ですか?
最初、オペをやっている方々の輪の中に入っていくということにやっぱり不安はありました。心臓外科の先生方とは元々やりとりが結構あったんで良かったんですけど、鍵になるのは麻酔科の先生ですよね。TAVIが今うまくいっているのは、麻酔科の先生方が非常に協力的だからっていう一言に尽きるんですけど、元々僕らはオペ室にはあまり行かない立場じゃないですか。先行施設に色々聞いても、やはり麻酔科の先生がキーパーソンだというのは分かっていたから、コミュニケーションをしっかり取っていきたいなっていうのがあった。今後こういうのを始めていきたいとか、その時には麻酔科の先生もかなり中心的に活躍していただくことになる、みたいにですね。本当に細かく話をしつつ、関係性を深めていった。ドクターサイドとして、循環器内科、心臓外科、麻酔科がしっかり強固に連携ができるようになってきたという点は良かったですし、いわゆるメディカルスタッフ、ドクター以外もかなり協力的で。当時の手術室の看護師長さんが非常に重要な役割を担ってくれて、手術室のメンバーを投入してくれた。看護師さんもある程度能動的に動いてくれる人がいないと、なかなか進んでいかないんですよね。TAVIとか、そういう治療でのチームって僕らも未知数だった。でも一人でできる治療じゃないっていうのも理解していましたし。僕はわりかしそうやって色々な人の意見を聞いたりするのが好きな方だったので、何か一緒に、色々できることが楽しいなと思えていた。
僕はよく手術室に足を運びましたね。ちょっとしたことでも相談に行ったりとか、ちょっとした娯楽や飲み会をセッティングしたり、そういうので交流がしっかりとできた。実際、始めるにあたっては皆が色々手探りな感じで。新しい治療が始まる楽しさと喜びが半分で、不安な側面もあったんだろうと感じました。また、僕が企画して、ドクター、看護師や臨床工学技士などTAVIに関わる人全員を対象に、何回かのシリーズで院内勉強会をやったんですよ。合併症が起きた時にどう対応するとか、TAVIに対する理解を深めた。製品のトレーニング後にも、皆で飲み会をしたりして。そういうのがめちゃくちゃ良かったですね。飲み会は大事ですね。やっぱりね、飲み会は定期的にやっていますね。もう仕事のこと以外の話がメインかもしれないですけれども(笑)。
意識してるというか、目指しているというか。ハートチームって風通しが良くないとなかなか難しいんですよね。要は医師だろうが他の職種だろうが誰だろうが、何か気付きがあったらすぐシェアして発言できる環境って僕は大事だと思っていて。若い人も発言しにくかったりするじゃないですか。だから、あったかい、柔らかい雰囲気を作ることは意識してますね。Mutual Respect(相互尊重)なんて言いますけど、自分たちにないスキルとか経験を他の人が持ってるわけですから。それをいかんなく発揮できるような環境作りが、結果として患者さんのためになりますよね。だから患者さんのためになる発言であれば、どんな時でも、術中の緊迫した時であろうが、もう遠慮なく、大歓迎だからっていうことを方針として言ってます。術者は手技に夢中になっていると気付かないこともあるじゃないですか。そういった時は周りに助けられてるなって思いますよ。後は、ハートチームをずっと固定することは良くないかなと思っていて、流動的な良さもある。新しいアイディアだったり、何か僕らが気付いてないことを、新しく入った人が気付いて良い方向に変えてくれたりとかですね。どんどん取り入れていかないと、進化していけないかなと。だからその良さはあると思いますし、ああいう治療に携わりたいなって。もちろんドクターもそうですけど、他の職種の方々も思ってくれて、関わってくれれば非常に嬉しいんですけどね。
率直なところをいうと、あんまりチームっていう風にしたくなかったんですよ。要するにそういう形にしちゃうと、それ以外の人が関われなくなっちゃうと思って。必ずしも毎回僕がやれるわけではなく、誰でもできなきゃいけないので、そういう点でちょっと抵抗はありました。「ハートチーム」という言葉が、入りづらい垣根ができちゃうでしょう。専門性が高過ぎると、それをやっていない人は入り込めなくなっちゃうんですよ。それが一番心配でした。ただ、当然人が変わるし、新しく入ってくる人も辞めていく人もいる。流動的なものであるべきで、本来のハートチームとは捉え方が違っていた。特殊技術じゃないんだよというところを刷り込ませるところが一番重要かもしれない。今は誰でも入りやすい環境にはなっている。
また、循環器内科の先生とは大動脈弁狭窄症に対しての認識において垣根があったと思います。当初、ハイリスクの患者さんに全身麻酔をしなければいけないということが怖かった。ただ、やっていくうちにコツみたいなのがわかってきて、どういう管理をすれば安全なのか、どういう点で危なくなるのか、これが明確にわかってくると、そんなに垣根はなくなってきました。
麻酔科医にとって、術者とのコミュニケーションをどのタイミングで誰が取るのかということが一番難しいんですよ。僕は循環器内科の先生たちがみんな年下だから喋れるけど、新しい先生からすると循環器内科の先生たちはみんな年上なので、どのタイミングで声をかけていいのか分からない。ただ、大野先生は割にオープンだったので、そういう点ではやりやすかったですね。お互いの言い分というのがどうしてもある中で、そこで強い言葉で言うような人達じゃないというのも大きい。看護師さん達に対するあたりも柔らかいと思う。我々の下の先生方に対するあたりもね。大野先生の指導のおかげだと思いますけどね。こっちの立場を尊重してくれる。
基本的には聞く姿勢だと思うんですよね。だから、いつでも何でも声をかけてくださいというオープンな姿勢が見えなきゃだめだと思います。こっちから声をかけてコミュニケーションをとる部分もあるし、向こうから声がかかる部分もあるじゃないですか。そのときに「聞きづらいな」と思ったり思わせたりするとだめだと思うんですよ。普段から顔を合わせれば「最近の症例どうでした?」みたいな話をするようにはしています。手術中だけしか喋れないとなると、なかなかコミュニケーションの構築は難しいんじゃないかな。チームに固執するつもりはないけれども、同じ患者さんを共有しているわけなので、そういった話題を積極的に作るようにした方がいいんじゃないかなと思いますけどね。周術期って術前も術後もあるじゃないですか。患者さんをすぐ忘れるんじゃなく、やっぱりそこは気にかけるようにする。それが、コミュニケーションがうまくなってくるコツのような気がします。若手には、主治医と相談して振り返りがいつでもできるようにと伝えています。主治医に対して「こうした方が、ああした方がいいかもしれません」ということが言えるような環境をつくって、積極的に発信していくことが麻酔科医としては大切かもしれないですね。
同じ症例の患者さんなので、外科で全て担当していた枠がカテーテルに取られちゃうんじゃないかという心配は正直ありました。ただ、その枠の取り合いじゃなくて、TAVIやってますよっていうと患者さんの数が増えるんですよね。なので潜在的な患者さんも増えて、結果としてTAVIの患者さんも外科の患者さんも増える。よく「TAVIを始めると患者さん増えますよ」という風に聞いていて本当かよと思ってたんですけど、まさにその通りで。それは啓発、啓蒙活動も多分効いてると思うんですけど、大動脈弁狭窄症という病気に対して、クリニックの先生たちも認識していて「心雑音があるのでエコーしてください」っていう紹介もすごい増えました。大動脈弁狭窄症の患者さん自体が増えたっていうのも理由だとは思うんですけどね。
大野先生はフラットというか、TAVIの数を増やさなきゃいけないからボーダーだったらTAVIに、とかそういうことは全然ない。他にも、解剖学的にあまりTAVI向きじゃなかった患者さんが元気な人だったので「岡ちゃん、これちょっとSAVRどう?」って言われたり。本当に患者さん中心というか、患者さんにそういうチャンスがあれば外科手術の方がいいかなっていう風に回してくれる。患者さんにとってどっちの治療がいいかなっていう選択ができる先生だと思う。そういう姿を見ていたので、その患者選択を自然と自分に落とし込めたっていうのはありました。
内科と外科ってぶつかることが往々にしてあって(笑)。やっぱりお互い言い分があるので。ですけど、このハートチームができたことによってすごい風通しがよくなったというか、内科と外科の患者さんの行き来もすごく活発になりました。相談事がとてもしやすい場というか、手術の待ち時間の雑談の中で患者さんの依頼をもらうこともあるし、逆に僕が患者さんをお願いすることもあったりとかする。あとは、学会会場の土地に詳しい先生に「今度行くんですけど、何かおいしいものありますか?」といった雑談は割としてるかもしれないですね。特に若手の子で抱えちゃう人には、声掛けをしてケアしますね。臨床工学技士とは元々知り合いですし、忙しいタイミングが違うので、手術の前後、空き時間で話したりとかですね。このハートチームができて、内科と外科含めてかなり風通しが良くなったのかなと思います。
色々な立ち位置を経験してほしいですね。色々なことができれば、色々参加するチャンスも増えるかなと。TAVIに参加できるように、ローディングを勉強してみたり、ガイドワイヤー操作を勉強して、第二、第三助手でも参加する。そういうことをすると、外科医としてのハートチームに参加する意義というか、楽しさが出てくるんじゃないかなと思う。カテーテル操作はやっぱり内科の先生の方が上手だったりすることもあるし、一方でステントグラフトを僕はやってるので、大口径のデバイスの扱い、硬いワイヤーの扱いは僕らの方が得意だったりすることもある。そのお互いの知恵を出し合うっていうコミュニケーションも大事かなと思えました。若い子に言うんですけど、もう順番とか関係なくて、とりあえずチャンスがあるところから全部やってく。パズルだと思うんですよね。その中でまた別のチャンスが出てくると思う。何かができてから行くんじゃなくて、とりあえずもう飛び込んでもらうのが大事かなと。それがいずれ外科医のオプションの一つになり得ると思います。
インプランターが声をかけてくれますので、当たり前だと思いながらやってますけれども、他の施設では意外に当たり前ではなかったりする。僕はそれを信じられなくて。それこそ麻酔科の先生と僕達の立ち位置がオペレーション上近いから、色々話しながらやりますし、もちろん雑談もしながらやる。僕自身は空気作りを意識しているわけではないけど、コミュニケーションが取りづらいとかは全くなかった。そういう話しやすい雰囲気とかは、リーダー次第なのかもしれません。
でも立ち上げの講演会とかはすごく重要でしたね。何かみんなでやっていくぞということがあっての流れがあるじゃないですか。疾患啓発というか、一緒のものを見る時に理解度が同じぐらいだとやっぱり分かり易いですよね。例えばなんで手術が長引いてんのかなとかを分かった方がいいじゃないですか。麻酔科の先生にも、今こういう状況だからもうちょっと長くかかりますとか僕は言いますもんね。そういうのを術者に聞くとちょっと嫌じゃないですか。だから僕が麻酔科の近くにいるのは結構大きいかもしれない。新たな麻酔科の先生が来てもつなぎ役になれるので、いいブリッジになっている可能性がありますね。
エコーをやってくれる子が僕以外に3人いるんですけど、僕は外来に行ったりとか、出張でどっか行ったりとか。その程よく抜けることは割といいんじゃないかなと思ってて。その子達が主体性を持ってやる時間があるっていうこと。それはもちろんある程度の実力がいってからですけども、その積み重ねで今レベルアップしている。任せることをこの頃意識してますね。それこそ若手の子に任せた時、その子がいないと出来なかったわけですから、めちゃくちゃ褒めるというか、いてくれなきゃ無理と言う話ですよね。助かったし、みんなも。だからこの患者さんの手術が成功したみたいな感じですよね。任せて、出来て、自信をつけての繰り返しですよね。やっぱり、任せることが重要なんじゃないかな。「私が居ないと」と思わせる環境を作ってあげるのは重要かなあ。できるようになると喜んでくれると思います。
キャラクターも含めて、個をすごく大事にしてくれるチームなんですね。例えば私には、臨床工学技士を頼りにしてくれているっていうのを毎回すごく感じる。手術が始まる前に「何か注意点ありますか?」とタイムアウトの際、先生から聞いてくれる。だから溶け込みやすいというか、より一緒に働いてる感を得やすい。技士だったら誰でもいいよとかではないので、コミュニケーション取りやすいですよね。そういう声掛けして見てくれるから他の人が入っても「先生方がキラキラして眩しい!」っていつも言ってます(笑)。あとは細かいですけど、名前で呼んでくれるのはすごく大事だと思います。そういう感じで、私じゃなくてもきっと回るのだろうけど、私が何か発言したことであたかも私がすごく良いことをした雰囲気を作ってくれるので、とても仕事しやすいなとは思いますね。些細なコミュニケーションが、潤滑油みたいな感じになって、業務としてのことも業務外でも話しやすくなるみたいなところがあります。麻酔導入や穿刺でうまくいった時、くだけた感じでお互いに「ナイスイーン!」って言ったりとかもしてましたね。仲が良く見えてるっていうのはすごく良いことで、歩み寄ろうっていうお互いの意思が大前提にあるのかなと思います。
「コミュニケーションはぶっちゃけ一つのギフトだよ」って言われたことがあって。相手の顔色を判断してトークを変えていくとか、それって多分できない人にはできないし、ひとつのスキル。だから日陰で仕事するのを好む人もいますし、コミュニケーションが得意な人と二極化するんですよね。ただ、最低限のコミュニケーション、おはようとか、お願いします、ありがとうございますとかそういう最低限のことは守らなきゃいけない。そういったベースとなるところを示すっていうのが、ある程度、場を提供する人の責任なのかなっていう、最低限ここを話してねっていう、その空気作りはある程度必要なのかなと思います。若手が入りやすいように、いつもの手技でもあえて流れの確認を共有する時間をとったりします。例えば経験値の浅い子は緊張して入ってきた時にスッパ抜けることがあるので、分かってても言う。当たり前のことを当たり前に確認することも、安全に手術を行うためのものでもありますよね。
大野先生を中心にですけども、事前にこんな手技なんだよっていう説明会が、病棟や外来のメディカルスタッフも含めて、結構いっぱいあったんですよね。何回かあって、もう手技自体は結構みんなが理解していたんだろうなって思います。そこでみんな分からないことは聞けた。後、ドライランはやっぱやらないといけない。例えば、スタッフの動線のバッティングがありそうな場面とかでは、機械はこっちの場所がいいなとか。僕らとしては、ある程度しっかりとした準備ができていたかなと特に放射線部門は思ってましたね。
物出しも圧の記録も、正直どの職種がやってもいいと思うんですけど、ただそれを誰がやるのかというところをしっかりと明確化したっていうところですね。専門職しかできないところとか、これはこの職種がやるっていうのを整理できているのが良いかなと思ってますね。看護師、臨床工学技士、放射線技師のところは、ドライランとかも含めてですけれども、一番初めの集まりの時に話しました。こういう手技をやりますという中で、この時はここがやらないといけない、これがないといけないってのを大野先生達から示していただいて、じゃあそれはうちがやりましょう、これはうちがやりましょうっていう形になったんですね。
何て言えばいいんだろうな、先生達もすごいメディカルスタッフを頼りにしてくれている部分もあります。若手も新しくローテーションしてきた子達には、分からないことがあれば僕らは教えますけど、もう少しレベルの高いことや診療に直結するようなことは先生に直接聞いた方が早いよって言ったりして。他にも例えば一緒に学会に行ったりとかして、同じ情報をみんなで共有するっていうのも一つのコミュニケーションかもしれないですし、その後、もちろんご飯食べに行ったり。大野先生とかが、こういう学会があるから一緒に行かないかとか、ハートチームでまとめて応募とかっていう形を取ってくれているので、声かけをしてもらっていることも雰囲気づくりとしては良いんじゃないかなとは思ってますね。後は、特に若手は緊張しながら初症例入ったりとかして、うまく終わった後に術者の先生から「今日もありがとう」って言われると、僕もそうですけどやっぱり嬉しいし、安心感ありますね。
体温管理は看護師が主体的に管理を行っていたり、看護師じゃなきゃ見れないところは特に意識しています。また、患者さんの治療に対する不安や期待することなどの想いや、家族の想いとかもしっかり把握して声掛けやケアに活かしています。後は病棟での様子、カルテ見たり、麻酔科外来でどういう様子だったかっていうのを面談した看護師が記録に残してくれているので確認して。どういう経過を辿って、どういう想いで手術室まで来ているのかっていうのはすごく大事にしようとうちの施設はしています。そういうのはTAVIだけじゃないですけれど。看護師がよりやってほしいこと、見てほしいことを新しくやってもらう人にも伝えるようにはしてます。他の職種が大事にしてるところは、多分それぞれちょっとずつ違う。違うけれど、それが一つになってすごい力になる。それがチームだと思います。
リーダーシップをとっている大野先生がそういう空気を持ってる。スタッフの顔と名前を覚えるんです。めっちゃすごいじゃないですか。だから看護師からして、私なんて一回しか大野先生と入ったことないし私のこと知らないだろうなって思ってても、大野先生は「○○さん、今日もよろしくね。」みたいに言ってくれる。その一言だけで、私のこと覚えててくれてるんだ、と入りの緊張感が変わりますよね。みんな少し緊張の糸がほぐれて、頑張ろうみたいになる。それはもう先生の力じゃないかな。ちょろっと会っただけでもコミュニケーションをとってくれるので。
立ち上げる時こそハートチームと言ってましたけど、それだと近寄りがたいじゃないですか。それが段々となくなってきて。だから今日もハートチームのインタビュー受けることを他の人に言ったら「まだハートチームなんてあるの?」みたいな(笑)。良い意味で、TAVIをやっているだけ。スペシャリストの集団みたいになると、やっぱり若い子とか部外者と思う人は、近寄りがたいとか、お近付きになれませんとかになっちゃうけど、そういう壁を一切作らずにやっているんですね。「そうか、じゃあ私もTAVIできるな。」とか思えるようになる。威張ってない、閉め切ってない。だからみんな入って行きやすいみたいな。スペシャリスト達と一緒に仕事ができることも自分の中でもっともっと頑張んなきゃなって思える環境だし、もっと勉強しようって思える。それでいてフレンドリーで堅苦しくなくてっていう、とても恵まれた環境に居させてもらってるなと。そうやってハートチームに最初から入れていただいたのもすごくありがたかったなって思います。