不妊治療中の患者様へ 子宮内膜ポリープとその治療

不妊治療中の患者様へ

子宮内膜ポリープと
その治療

監修
堤 治先生
医療法人財団 順和会 山王病院 名誉病院長
リプロダクション・婦人科内視鏡治療センター長

子宮内膜ポリープと不妊

子宮内膜ポリープは受精卵の着床を阻害等するため不妊の原因となりえます

子宮内膜ポリープは子宮内膜の細胞が増殖して左下の図のように子宮の内腔に突出します。不正性器出血を主訴とすることもありますが、無症状で偶発的に見つけられることもあります。不妊の原因になりうるので、超音波検査で疑いがあれば、子宮鏡で確認します。特に体外受精治療では、胚移植の前に検査し、必要な場合は切除します。

子宮内膜ポリープ
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一般不妊検査

不妊症はさまざまな原因により引き起こされます

治療方針をたてるにあたっては、正確な不妊原因の把握が不可欠です。主に三つの因子が挙げられ、そのために行う検査としては、次のようなものがあります。
 
  1. 排卵因子の検査
    基礎体温で排卵の有無や排卵時期がわかります。超音波断層法による卵胞の発育・排卵のチェック、血中ホルモン測定による内分泌的検査を行います。排卵時期を予測して性生活のアドバイスをするのがタイミング法です。さらに、卵巣予備能の重要なマーカーである抗ミューラー管ホルモン(AMH)の測定も行います。
  2. 卵管および子宮因子の検査
    子宮卵管造影検査により、子宮内腔の形状や卵管の通過性・狭窄の有無を調べます。子宮奇形や粘膜下筋腫、ポリープの診断ができます。造影剤の拡散状況などから骨盤内の癒着の有無についての情報も得られます。通水試験や通気試験もありますが、得られる情報量は子宮卵管造影検査がまさっています。
  3. 男性因子の検査
    精子濃度や運動率、さらには精子運動速度など、各種精子パラメータを精子自動解析装置(CASA)を用いて計測します。さらに、より精密な検査として、精子正常形態率(Kruger's Strict Criteria)やSwim-up Testといった検査で精子の受精能力を総合的に判定することが可能です。

内視鏡検査(腹腔鏡、子宮鏡、卵管鏡)

不妊治療を行う患者様にとっての子宮内膜ポリープ/筋腫

さまざまな治療法があります

  1. 経過観察
    子宮内膜ポリープは一般的には良性で、症状がない患者様には、一般的な不妊検査・治療から始めるため、経過観察が選択されることもあります。
  2. ホルモン療法
    カウフマン療法といって、女性ホルモンを投与して出血とともに、流れ去ることを期待して行うことがありますが、有効性は確実ではありません。
  3. 子宮内膜掻把術
    超音波ではっきりわかる大きさの子宮内膜ポリープに対して、流産の処置等におこなわれる子宮内容除去術が行われることがあります。超音波を見ながら行われるため簡便ではありますが、周囲の子宮内膜への影響がでる可能性があり、慎重に選択されます。
  4. 子宮鏡手術
    子宮鏡と呼ばれる内視鏡(スコープ)を用いて、ポリープをテレビモニター上に映し出して切除します。通常手術室で、全身麻酔下または局所麻酔下にて実施されます。細い硬性鏡を用いて局所麻酔下に施行することも可能と考えられます。詳細は主治医にお尋ねください。

子宮鏡手術の色々

さまざまなデバイスがあります

子宮内を液体で満たして、膣から内視鏡(子宮鏡)を挿入し、腫瘍を摘出します。
切除デバイスには以下のようなものがあります。

電気メスを用いた切除方法

  • 先端の電極ループで腫瘍を焼き切ります
  • 大きな腫瘍やめり込んだ腫瘍の切除に向いています
電気メスを用いた切除方法

シェーバーを用いた切除方法

  • 回転するシェーバーを腫瘍に近づけて粉砕します
  • 腫瘍の大きさによって低量の麻酔で日帰り手術が可能です
シェーバーを用いた切除方法

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