経カテーテル的 大動脈弁植込み術 (TAVI)

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TAVI手術とは?

重症の大動脈弁狭窄症に対して、主に脚の付け根や鎖骨の下の血管から、カテーテルという医療用の細く柔らかい管(くだ)を差し込んで生体弁(人工弁)を心臓まで運び、植え込む手術です。日本では2013年から行われるようになった治療法です。

オペ室 TAVI

重症の大動脈弁狭窄症の治療方法は、カテーテルを用いたTAVIと外科手術とがありますが、TAVIは外科手術と比べて体にかかる負担が小さい(低侵襲)とされています。

入院期間は数日~1週間程度*と、外科手術より短くなることが多いです。

一方で、比較的新しい治療法ですので、長期成績のデータが十分には蓄積されていません。
*入院期間には個人差があります。

TAVI手術の手順(イラスト)

■TAVIには3つのアプローチ方法があります。

①経大腿動脈アプローチ(TF)

脚の付け根の動脈にカテーテルを挿入して心臓まで運び、生体弁を植え込みます。

②鎖骨下動脈アプローチ(SC)

鎖骨の下の動脈にカテーテルを挿入して心臓まで運び、生体弁を植え込みます。

③直接大動脈アプローチ(DA)

胸を小さく開けて上行大動脈にカテーテルを挿入して心臓まで運び、生体弁を植え込みます。

TAVI手術とは?(Body Anatomyイラスト)

TAVIと外科治療の違い

TAVIは、重症の大動脈弁狭窄症に対して日本では2013年から行われるようになった治療法です。外科手術と比べて体にかかる負担が小さい(低侵襲)とされており、個人差はありますが入院期間は外科手術より短くなることが多いです。比較的新しい治療法ですので、長期成績のデータが十分には蓄積されていません。主に外科手術が困難な患者さんに検討されます。

  TAVI:カテーテル治療 SAVR:外科的治療

治療方法

胸を開かず、カテーテルを用いて治療します

外科的に胸を開いて手術を行います

治療(手術)にかかる時間

約1-2時間

約5-6時間
(術式や状態に応じて変動があります)

入院の期間

数日~1週間程度
(治療後に検査を行い合併症がないことを確認したうえで退院となります)

2週間~

治療の侵襲

人工心肺を使用しません

人工心肺を使用し、一時的に心臓の動きを止めて手術を行います

使用している生体弁の耐久性

 5年以上の耐久性
(TAVIは比較的新しい治療法のため、生体弁の耐久性は まだ5~8年くらいのデータがでてきているに過ぎません。しかし、これまで報告されたデータにおいては、SAVR 弁とTAVI弁の耐久性はおおむね同等という結果が示されてきています。1)

10年以上の耐久性 2)

治療後のMRI

現在、主に使用されている生体弁には磁性がない(磁石につかない)ので基本的に問題ありません。しかし、機器によっては受けられないこともありますので、事前に確認が必要です。

※TAVI:カテーテル治療と同様

1) Jørgensen T H. Eight-year outcomes for patients with aortic valve stenosis at low surgical risk randomized to transcatheter vs. surgical aortic valve replacement. European Heart Journal. 2021 Aug 7;42(30):2912-2919.

2) Yoshikawa Y., Okada Y., et al. Long-Term Outcomes of the Mosaic Aortic Porcine Bioprosthesis in Japan -Results From the Japan Mosaic ValveLong-Term Multicenter Study-. Circulation Journal. 2020 84(8): 1261-1270.

TAVIの診察から手術・退院までのスケジュール

❶ 初診外来

問診による病状の把握、外来での検査(心電図・胸部レントゲン・採血・心エコーなど)を行います

聴診

 術前検査(入院して行う場合もあります)

より詳しい状態を把握するため、必要に応じてCT検査、カテーテル検査などの精密検査を行います

CT検査

 病院のハートチームによる治療方針の検討

各検査の結果や患者さんの状態、希望などを踏まえて、最適な治療方針を総合的に検討して決定します

会議室

 TAVI治療

  • 入室:局部麻酔もしくは全身麻酔をします
  • TAVI治療:カテーテルを用いて生体弁を留置します(1-2時間)
  • 集中治療室での観察:TAVI後、集中治療室での安静にして、術後の変化がないかなどを確認します(24時間程度) 
オペ室 TAVI

 術後の回復

翌日からは、食事、歩行を開始し、一般病棟へ移ります

術後

 退院

入院から退院までの目安は数日~1週間程度です

退院

※スケジュールは目安となり、施設や患者さんによって異なります。

退院前に、医師から、どのような活動ができるか、どのような薬を服用する必要があるか、いつ再診する必要があるかについて説明を受けます。 植え込まれた生体弁に関する情報カード(TAVIカード)が発行されます。

医師の推奨に従って、生体弁の検査を受けるために病院を受診しましょう。 不快感、健康状態の変化など、気になることがある場合は、すぐに医師に知らせてください。

TAVIカードは携帯し、病院を受診される際には必要に応じてかかりつけ医、歯科医師を含む医療関係者に提示してください。 MRI 検査が必要な場合は、TAVI生体弁を植え込んでいることを医師に伝えてください。

TAVIによる治療後の生活で気をつけること

■食事について

  • 摂取カロリーや塩分の量に気をつけながら、栄養バランスのとれた食事を摂りましょう。特に塩分量には注意が必要です。
  • 大量の飲酒は心臓に負担がかかるため、アルコールは飲み過ぎないようにしましょう。

■運動について

  • 適度な運動は、心臓の負担を軽くし、健康を維持するためにも重要です。運動は、医師の指示に従って行いましょう。
  • 新しい運動を始めるときには、医師に相談しましょう。
  • 急に運動して転倒しないように気をつけましょう。

■その他
治療後は、合併症を予防するために、血液の流れを良くする薬などを処方される場合があります。医師の指示に従って、お薬を決められた期間服用します。

  • 退院後の定期検査をきちんと受けましょう。動悸や息切れ、むくみなどの気になる症状がある時は、定期検診を待たずに医師に相談しましょう。
  • 感染症を防ぐため*、歯の治療や外科的治療を受けるときには、あらかじめ、生体弁が入っていること、および血液の流れを良くする薬を服用していることを歯科医師、または医師にお伝えください。

* 心臓弁膜症患者さんの場合、歯茎などから入った細菌が感染性心内膜炎を引き起こす可能性があります。口腔内のケアを定期的に受けましょう。

TAVIに関するよくあるご質問(FAQ)

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ハートチームとは何ですか?

ハートチームは、循環器内科医、心臓外科医、放射線科医、麻酔科医、および必要に応じて他の医師が含まれる専門的な治療チームです。 これらの専門家が協力して、患者さんにとって最適な治療選択肢を特定し、提示します。

TAVI治療は心臓を止めて行う手術ですか?

TAVI手術にかかる時間はどのくらいですか?

どのような運動ができますか?

TAVI生体弁を使用して MRI 検査を受けるのは安全ですか?

どのような患者さんがTAVIの対象になりますか?

治療による痛みはありますか?

TAVI手術にリスクはありますか?