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ID&E Week 2023 - Pride

LGBTQって何?

多様性を尊重する職場環境のために、必要とされるアライ (ALLY) の役割とは

メドトロニックは ID&E(インクルージョン、ダイバーシティ、エクイティ)への揺るぎない取り組みを進めています。それは機会に対する障壁をなくすために努力することです。そして、すべての従業員が自分の居場所を実感し、尊重され、自分らしさを大切にされる文化を促進することも意味しています。

2023年11月8~14日を「ID&E Week」とし、さまざまなイベントを集中的に実施しました。介護と仕事、LGBTQ、ジェンダーバイアスなど異なる9つのトピックを学び、「私に何ができるのか」を一人ひとりが考える機会となりました。

10人に1人は性的マイノリティー、残り9割の意識をどう変えるかがカギ

米国ミネアポリスにあるメドトロニックのオペレーション本部では、LGBTQの理解向上・支援を目的とする従業員リソースグループが1994年に設立され、いまや会員数は2,500人超。LGBTQ当事者たちの不安や迷いに寄り添い、支える活動を約30年前から積極的に行ってきました。

日本のメドトロニックも今年、「Japan PRIDE」を発足しました。自分らしさが尊重され、受け入れる環境があると、従業員はより意欲的に業務に取り組め、チームワークやコミュニケーションも円滑になります。Japan PRIDEの発足と並行して、社内ルールの整備も行っています。具体的には社内規程として「パートナーシップ規程」を新設し2024年1月1日より導入しました。これにより同性・異性を問わずパートナーを法律上の配偶者と同じものとして定義し、社宅制度をはじめとした各種の制度が活用できるようになります。社内のルール整備は今後も継続して行っていきます。

そして、企業文化向上、そして従業員がより働きやすい環境を整えるために、まず、LGBTQに関心を持ち、自分ごととして捉えるきっかけを提供したい、そのような背景もあり、Japan PRIDE発足後初の従業員向けイベントを開催しました。

今回は、多くの企業でLGBTダイバーシティのコンサルティングに携わるアウト・ジャパン代表取締役の屋成和昭氏を講師にお迎えして、LGBTQとは何かを学び、他社の取り組みや当事者や支援者が抱える課題などを紹介。当事者のお二人から直接話を伺いました。

LGTBQという言葉の認知度は年々高まっていますが、正しく理解している人は少ないのが現状です。屋成氏から「LGBTQ当事者は人口の約10%を占め、左利きやAB型の人の割合とほぼ同じ」であることが紹介されると、参加者からは驚きの声が上がりました。

10人に1人が性的マイノリティーであるにもかかわらず、「身近にいない」「会ったことがない」という反応が多いのは、「本人が隠しているからだ」と屋成氏は指摘します。「そうさせているのは10%の当事者ではなく、90%の側の問題といえます。無意識の偏見や思い込みから偏ったものの見方をしてしまう‟アンコンシャスバイアス”とどう向き合うかが焦点です」(屋成氏)。

また、屋成氏は「LGBTQを一括りにして議論すること自体がナンセンス」と指摘。生まれつき身体の性と性自認1が一致していない「トランスジェンダー」や、性自認が女性で、性的指向2も女性に向く「レズビアン」、性自認が男性で性的指向も男性に向く「ゲイ」の他にも、性の在りようはとても多様で「正しい情報の啓発や普及により、思い込みによる誤解や差別の是正が必要です」と述べました。

ID&E Week 2023 Pride 講師:屋成和昭氏 講師:屋成和昭氏

公表すれば職を失う?当事者が抱える不安や葛藤

セッションの後半では、トランスジェンダーのY氏と、ゲイを公表するS氏がカミングアウトまでの苦労や不安、現在も続く葛藤などを赤裸々に語りました。

両親に「男らしく」と厳格に育てられたY氏は、幼少期から性自認に違和感を持ったまま、誰にも言い出せずに成長しました。男社会の文化が色濃く残る建設業界  で技術者として活躍し、結婚して家庭を持つも、女装してイベントに参加していることが思わぬ形で職場に知られてしまいます。「ショックでしばらくは会社に行けなくなりましたが、これ以上自分に嘘はつけずカミングアウトしました」(Y氏)。

Y氏のカミングアウトで会社は大混乱。一時は「会社に拒絶された」と落ち込みます。約2年を経て「周りはどう反応すればいいかわからなかっただけ」だと気づきますが、自分が一歩近づくと、相手は2歩下がってしまいます。0.5であれば相手も0.5近づいてくれる、そう感じたY氏は、相手との距離感を気遣いながら対話を繰り返したそうです。

1歩ずつ丁寧に前に進んできたY氏は「社内制度を作るより、受け入れる風土を醸成することの方が私は大事だと思います。そうした風土があれば、0.5+0.5は1ではなく無限大になる」と語りました。

一方、20歳のときに、自分の性的指向を受け入れたS氏。小学校の教員として働く中で、外見は男性であるために「彼女はいるの?」「結婚は?」など、男女の恋愛を想定した会話に悩まされたと言います。嘘をつき続けることに耐え切れず、「この人なら自分を傷つけない」と確信した人にのみカミングアウトを始めます。

本当の自分を知ってもらえたことで、職場での心理的安全性は大きく広がったそうです。しかし、さらなる社会的カミングアウトを決心した際には「職場にいられなくなるのでは?」「教育委員会に抗議の電話が来るのでは?」と悩んだ末に退職。周囲は引き留めてくれ、生徒や保護者もポジティブに受け止めてくれたことが退職後に分かり、「結局は自分の問題だった」と気づいたそうです。

現在の勤務先ではゲイであること公表し、仕事に100%集中できているというS氏。一方で、「カミングアウトすればすべてがバラ色ではない」とも言います。携帯電話の家族割など、同性カップルでも使えるサービスは増えたものの、未だに結婚は認められていません。「個人のカミングアウトだけでは限界で、制度の必要性も痛感しています」(S氏)。

また、「会社で研修受けた親が家庭で話をするので、LGBTQについて知っている子どもは増えています。数年前には考えられなかったですが、こうした企業の研修や取り組みが、巡り巡って子どもの教育にも届くと実感しています」と語りました。

LGBTQに寄り添う理解者「アライ (ALLY)」とは?

両氏に共通するのは「本当のことは誰にも言ってはいけない」「言えば職を失う恐怖心があった」ということです。屋成氏によると「LGBTQ当事者の8割はカミングアウトしていない」というデータもあり、当事者たちがいかに世間の誤解や偏見に対する恐怖心を抱いているかがわかります。

そんな社会を変えるカギが、LGBTQ当事者のことを理解し、支援のために行動する人「アライ (ALLY)」です。屋成氏は「当事者の不安や心配を取り除き、理解して支援したいと思う気持ちがすでにアライです。また『自分には話してもいい』」という安心感を与える、『言いたくなければ言わなくてもいい』と伝えることも支援の一つです」と話しました。

ID&E Week 2023 Pride 相子さん

「カミングアウトされたらどうすればいい?」という質問には、「カミングアウトされるのは既に信頼されている証拠です。素直に驚いてもいいので、普段どおりに接してほしい」とアドバイスしました。

参加者からは「当事者の経験談を聞くことができ、より身近なこととして向き合うことができた」「アライの大切さ、態度を意識していこうと思います」などの声が寄せられました。

セッションの最後には、会場からは拍手が、オンライン参加者からも「いいね!」が溢れ、参加者の気持ちに変化が見られる1時間となりました。


1 性自認:自分の性別をどのように認知しているかを示す概念のこと
2 性的指向:どのような相手に性的魅力を感じるか、あるいは感じないかを示す概念のこと

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