PeipheralVascular

下肢閉塞性
動脈硬化症

治療法

下肢閉塞性動脈硬化症の治療法は?

【運動療法】

主に、跛行(はこう)と言われる歩行障害時の痛みを訴える患者さんに行います。病院内で運動をする器具を用いたりし、専門のリハビリスタッフの指導のもとで歩行練習をします。また、自宅など病院以外でもしっかり運動療法を行うことも重要で、症状の改善に有効とされています。この病気になった場合、運動療法、歩行運動は改善のカギとなる大切な治療法です。

【薬による治療法】

細くなった動脈を詰まらないようにするために、抗血小板剤と呼ばれる血液をサラサラにする薬が処方されます。また足の動脈を拡張する薬も投与されることがあります。

【禁煙】

この病気の治療には禁煙は絶対に必要です。

【カテーテルによる血管内治療】

カテーテルという細い管を動脈の中に入れ、風船(バルーン)や、金属の筒であるステントを用い狭い部位を拡張します。血管を拡げて足への血流を回復し、それを維持する治療です。体への負担は外科手術と異なり軽いため、治療後数日で退院が可能ですし、日常生活にもすぐに戻ることができます。

【外科治療】

すべての患者さんがカテーテル治療を受けられるわけではなく、病変によっては手術が選択されることもあります。バイパス術は静脈や人工の血管を用いて詰まった血管を回避して別ルートに血流を作ります。大腿動脈(ふとももの血管)や膝下動脈の長い区間の閉塞で、ご自身のバイパス用の血管(自家静脈)がある場合や、股関節部(総大腿動脈)の病変はバイパス術や内膜剥離術という外科的手術を行います。

カテーテル治療とは?

薬による内科治療や、運動療法などでは十分な歩行が得られない場合で、血流を再開させる治療が必要な状態と判断した患者さんには、血行再建の治療を行います。特に最近はカテーテル治療の技術・器具が発達し、多くの病変がカテーテルによる治療が可能になってきました。カテーテルによりご自身の血管を治療し、血流を回復させる方法です。足の血管は骨盤内の血管(腸骨動脈)から足先の血管までと長いため、カテーテル治療法は病変の部位により変わります。(図1)

病変の部位により変わるカテーテル治療法

図1 

1)風船による治療

風船(バルーン)のついたカテーテルを用いて、細い血管を拡げます。バルーンが膨らむことによって狭い部分を広く拡張できる仕組みです。(図2、3)ただ、この方法ではまた狭くなること(再狭窄)が多いことが問題です。

浅大腿動脈にバルーンを用いた血管内治療

図2 浅大腿動脈にバルーンを用いた血管内治療

膝下以下動脈(前脛骨動脈)にバルーンを用いた血管内治療

図3 膝下以下動脈(前脛骨動脈)にバルーンを用いた血管内治療

2)ステントによる治療

血管内をメッシュ状の金属の細い筒で拡げて血管を拡張する治療法です。ステントが中から支える構造になっているので、すぐに狭くなることがなく血流も十分に確保できる点が優れています。近年は再度狭くなりにくい特殊な薬を塗ったステントも使用可能になりました。(図4、5)

腸骨動脈領域へのステントを用いた血管内治療

図4 腸骨動脈領域へのステントを用いた血管内治療

浅大腿動脈(太ももの血管)へのステントを用いた血管内治療

図5 浅大腿動脈(太ももの血管)へのステントを用いた血管内治療

3)薬剤塗布型バルーン

バルーンの外側に特殊な薬がつけられて拡張した血管に塗布するようにします。再狭窄といわれる現象が少なくなることが知られ現在では広く世界で使われるようになっています。我が国でも大腿動脈(ふとももの血管)に対する臨床治験で良好な結果が得られ、使用可能になりました。(図6)

薬剤塗布型バルーン

図6 薬剤塗布型バルーン

本サイトの内容は、医師の診察に代わるものではありません。病状や治療に関しては、必ず主治医の診断を受けてください。