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急性副鼻腔炎のほとんどは、内科的に治療することができます。また、慢性副鼻腔炎であっても、抗生物質などの内服薬、注射などの薬物治療によって緩和することが可能です。
耳鼻咽喉科を受診時には、鼻の処置で副鼻腔の入口を広げた後、鼻みずを吸い出し洗浄する処置やネブライザー療法などが行われます。ネブライザー療法とは薬液を霧状にして吸入することで、直接副鼻腔に薬を届ける治療法です。抗生剤やステロイド薬を含む薬液を使用し、副鼻腔の炎症を抑える目的の治療法です。
副鼻腔炎が1週間以上続く場合には、細菌が原因であると考えられ、抗生物質が処方されます。急性の細菌性副鼻腔炎は、ほとんどの場合、一定期間の抗生物質治療で治ります。また、症状を緩和するために抗ヒスタミン剤、消炎剤、去痰薬などの服用が勧められることもあります。
慢性副鼻腔炎についても、まずは内科的に治療が進められます。患者さんの症状に応じて、抗生物質、ステロイドの点鼻薬などが処方されます。
慢性副鼻腔炎に対する薬物治療が効果を示さない場合、副鼻腔手術が行なわれます。副鼻腔手術の目的は、炎症で妨げられた鼻と副鼻腔の正常な機能を回復させることです。
鼻の中の正常な組織をできるだけ温存しながら、病変部分(副鼻腔炎の原因となっている部分)を取り除き、詰まった副鼻腔の通り道を開きます。近年の手術機器や手技の発達により、身体への負担が少ない処置で多くの慢性副鼻腔炎患者さんの症状が緩和されています。
今日では、内視鏡下副鼻腔手術(ESS)が、慢性副鼻腔炎を治療するための最も一般的な手術法です。この手術は、鼻の穴から内視鏡とマイクロデブリッダーといわれる手術器具などを挿入して行ない、病変部分を取り除くことで、詰まった副鼻腔の通り道を開きます。
通常、顔や口の中などに傷はできず、準備を含めて3-4時間程度で終了することがほとんどです。また、鼻中隔や下鼻甲介という部位に対する手術が同時に行われることもあります。
慢性副鼻腔炎のESS治療では、①篩骨洞、②上顎洞、③前頭洞、④蝶形骨洞という4つの副鼻腔のうちいくつか、あるいはすべての副鼻腔を開放し空洞内の病変を取り除きます。鼻甲介形成術および鼻中隔矯正術をあわせて行うこともあります。病変部分の切除には、マイクロデブリッダーという、副鼻腔内の組織の切除と吸引を同時に行う手術機器が使用されます。マイクロデブリッダーと内視鏡を使用することにより、正常な組織を傷つけることなく病変部分を高精度に除去することが可能となります。
それぞれの手術法は適応やリスクが異なるため、担当医師とよく相談して最適な治療法を選ぶことが重要です。
4種の副鼻腔のうち、篩骨洞は目と鼻筋の間に位置しています。他の3つの副鼻腔は、篩骨洞を通じて溜まった膿や粘液を排出するか(排液)、篩骨洞と隣りあっています。そのため、篩骨洞がふさがっていると、感染がその他の副鼻腔に広がってしまう可能性があります。
篩骨洞手術では、自然な排液を妨げている篩骨洞内の感染した組織や骨を除去します。
上顎洞は頬骨のすぐ奥に位置し、成人の副鼻腔炎は、上顎洞に生じることが多いと言われています。通常、目の高さから約1.5 cm下のところにある排出口を通って上顎洞から排液が行われますが、この部分がふさがると、上顎洞内の液が適切に排出されなくなり、感染の発症リスクが生じます。この排出口を開放し上顎洞内に溜まった液を除去します。
前頭洞に炎症や病変が生じた場合に行われる手術です。その位置は眉毛のすぐ上、額の裏側にあります。前頭洞の入り口を大きく開いて、通気性を改善します。難治性の症例や前頭洞の入り口が狭い場合もあり、角度がついているデブリッダーや鉗子を操作する必要があり他の部位より複雑な手術になります。
蝶形骨洞は副鼻腔の一部で、鼻腔の最も奥に位置する空間です。蝶形骨洞の入り口を大きく開いて、通気性を改善します。
付近に視神経と内頚動脈など危険な構造物が多いため注意が必要になります。
鼻中隔とは、鼻孔を右と左にわける骨と軟骨で形成される壁のことです。鼻の高さを支え、空気の流れを整える役割があります。主に成長発遺の過程で自然に曲がるため、正常な鼻中隔も少しだけ曲がっていますが、鼻中隔の成長の仕方や外傷などが要因で、強く曲がってしまうことがあります。鼻中隔が強く曲がると、鼻呼吸が難しくなり、さらに適切な排液が妨げられます。この場合、副鼻腔炎にかかりやすくなったり、かかった後の治りが遅れる可能性が高くなります。一方、鼻甲介は、鼻の中にある骨性の構造物で、粘膜におおわれています。鼻甲介を覆う粘膜は、吸い込まれた空気が肺に入る前にフィルターとして働き、空気に湿り気を与えて鼻の中を湿った状態に保つため、とても重要なものです。
鼻中隔が必要以上に曲がっていると、鼻の中の片側が狭くなり鼻づまりが生じるだけでなく、広くなった側の鼻甲介は大きく厚くなり、その結果、鼻づまりが悪化します。これが、鼻甲介形成術または鼻中隔矯正術が行なわれる主な理由です。
鼻中隔矯正術では、空気が鼻の両側を流れるようにするため、鼻中隔をまっすぐにします。また必要なだけ鼻甲介を小さくすると同時に、正常な鼻甲介の機能に必要な組織を保存します。
一般的な副鼻腔手術のスケジュールは、手術前日に入院し、手術当日から数えて数日程度で退院できることが多いです。短期入院や日帰りの施設もありますが、術後の療養期間についてはそれぞれの医療機関にご確認ください。
手術によって広げた部分は、体にとっては「傷」ですから、体が治癒しようとしてまた狭くなってしまうことがありました。
そうなると再手術になることもありますが、最近では、再手術のリスクを低減させるような薬剤や手術後の副鼻腔の通りを維持させるような技術もどんどん開発されています。
手術は、早ければ早いほど効果が高いことが示されてきています。
数日の入院だけで、人によっては、何年も悩んでいた症状から解放されることもあります。
「手術のおかげで仕事のパフォーマンスが上がった!」と大変満足されている方もたくさんいらっしゃいますので、若いうちから手術をしておくことで、長く効果も感じることができます。
手術後は止血を行い、副鼻腔が再び閉塞しないように傷の治癒を促進するガーゼやスポンジなどをを詰めて終了します。最近では、薬がついた溶けるステントを術中に留置する処置もあり、再手術のリスク低減が期待されています。
手術後1週間ほどで、奥に残った詰め物を取り除いたり、抜糸を行います。副鼻腔炎の場合、術後のケアは特に重要で、薬物療法や鼻うがいが行われます。
退院後は、1日3回程度の鼻洗浄を行います。これは、止血用のスポンジやかさぶたを洗い流し、感染予防にも役立ちます。激しい運動は避けるべきですが、デスクワークなどの軽い仕事は可能です。
定期的に診察を受け、鼻の状態が良くなれば通院は不要になります。
最近では、再手術のリスクを低減させる薬剤や副鼻腔の通りを維持する技術などが開発されています。
詳しくは担当医師にお問い合わせください。