腰下肢痛

治療法

腰下肢痛の治療

統計によると、日本では約30万人以上の患者さんが腰下肢痛、坐骨神経痛、神経根障害などとして診断されています(出典1)。通常、痛みの治療には、薬物治療、神経ブロック、理学療法、外科手術などがあります。これらの治療でも日常生活に支障をきたす場合に、脊髄刺激療法という選択肢があります。治療は、患者さんの症状によって効果が異なりますので、医師と十分ご相談ください。腰下肢痛の治療には次のようなものがあります。

薬物療法

ほとんどの場合は薬物による治療が行なわれます。薬は症状によって効果が異なり、医師はさまざまな薬と用量を試します。使われる薬は、店頭の市販薬から処方薬までと多岐に渡ります。

神経ブロック

神経ブロックとは、痛みが起きている神経に対して局所麻酔薬やステロイドなどの注射を行います。神経ブロックで神経を麻痺させることによって痛みの悪循環を断ち切ることができるとも言われています。神経ブロックは、効果が一時的に終わってしまうことがあり、繰り返し治療しても改善が見られない場合は他の治療が検討されます。

理学療法

理学療法によって筋肉を形成することによって、痛みが少なく身動きが取れるようになります。医師は、マッサージや運動療法などを処方します。

脊髄刺激療法

脊髄刺激療法は、薬物療法や神経ブロックでも日常に支障をきたす患者さんにのみ適応される治療です。体内に植込まれた装置から脊髄に微弱な電気刺激を与えることで、脳への痛みの信号を伝えにくくすると言われています。実際には、患者さんは痛みの部分に心地良い刺激感を重ねることで痛みがやわらぎます。体内に完全に機器を植込むことにより、患者さんの活動レベルや日常生活の向上が期待されます。

植込みが必要な治療ですが、脊髄を傷つけない治療です。そのため、植込みを行った後も機器を抜去すれば、元の状態に戻して他の治療を選択することができます。また、機器を植込む前に一時的に脊髄に刺激を行って患者さんが効果を試すことができます。

外科手術

脊柱管狭窄症などの脊椎疾患は、脊髄を脊椎が圧迫していることが主な原因です。MRIやCTスキャンで画像診断を行い、神経を圧迫している部分を確認し、痛みの原因を突き止めます。その原因を取り除くために、椎弓切除術や固定術などの外科手術が行われます。

神経破壊術・神経切除術・神経遮断術

神経を破壊することによって脳への痛みの信号の伝達路を遮断します。この治療により破壊された神経は元の状態に戻すことができなくなるため、他の治療法では効果が得られない場合のみ最終手段として適応されます。

 

出典

1. 服部政治, 竹島直純, 木村信康, 山本一嗣, 水谷明男, 野口隆之:日本における慢性慢性疼痛を保有する患者に関する大規模調査. ぺインクリニック25:1541-1551.2004.

 

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